夜景遺産認定地
イワキカイテンヤグラボンオドリタイカイ
いわき回転やぐら盆踊り大会光り輝きながらゆっくりと回る「いわき回転やぐら」は、1955年に全国のやぐらを調査し、「日本一大きな回転やぐら」であることが判明。闇に悠然とそびえるやぐらの迫力はさることながら、無数の灯りや提灯が回転する光の輝きは唯一無二の夜の情景を創出する。
1952年から続く伝統行事で、今では福島を代表する夏の風物詩として定着。盆踊り大会が催されるいわき市・内郷地区は「常磐炭田発祥の地」であり、かつて炭鉱の町として栄えた。その起源としては、当時の炭鉱事故で亡くなった人々の慰霊を目的に開催されたことが始まりとされている。当時の想いは現代にも受け継がれ、近年は東日本大震災で亡くなった方々の供養をはじめ、お盆に里帰りする家族や友人が集う行事として開催。2019年には東京2020オリンピック・パラリンピックの参加プログラムにも選出され、約45,000人もの方々が参加した。盆踊り最大の特徴は日本で唯一、光り輝きながらゆっくりと回る「いわき回転やぐら」の存在である。最初に誕生したやぐらは3層の大屋根を持ち、建て面積約200㎡、高さ約20m・2階建にも及ぶ大きなやぐらに約300個の電灯を装飾したものであった。当時としてはあまりに大きく豪華なもので、力自慢の炭鉱夫らが人力でやぐらを回していたという。1955年には全国のやぐらを調査し「日本一大きな回転やぐら」であることが判明。その後は人力式から電動式に変更され、現在のやぐらは2016年の市政50周年に建てられた4代目となる。盆踊り会場の内郷駅前広場は「正調盆踊りお囃子」の心地良い音色に包み込まれ、ゆっくりと回転するやぐらを中心に老若男女による幾重もの踊りの輪が広がっていく。闇に悠然とそびえるやぐらの迫力はさることながら、無数の灯りや提灯が回転する光の輝きは唯一無二の夜の情景を創出する。会場周辺の道沿いには数多くの屋台が並び、多くの人で賑わう姿も日本の夜の魅力を伝える優美な光景である。